Ich zeichne es*kamuro

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逃走逃走。-1-

これは遠い遠い昔にあったと伝えられる架空の御話。

本当に架空なのかは御自分で判断してくださいませ。

ある王国にそれはそれはおてんばなお姫様が居たそうな。

そのおてんば姫は、将来王国を治める存在でした。

だったのですが…

 

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「嫌ですッ!」

ある一室から高く、そしてまだ幼い声が聞こえる。はたして10~12歳くらいだろうか。

「いいえ姫様!この見合いは絶対にしていただきます!」

それとは反対に、低く、成人した男性の声が聞こえる。

「大体、何故まだこの年齢なのに見合いなんぞするのか意味がわからない!」

「姫様!言葉にはお気をつけてくださいとあれほど…!」

「あ゛ーもう!分かってます!」

姫は大臣の言うことに反抗します。

そうして、一日の大半は大臣との口げんかで終わるのです。

何故、まだ幼いのに見合いをするのかと言うと…

先日、両親が病気にかかり、二人とも死んでしまったからです。

なので、幼い身に、一人で政治をさせるのはあまりにも不憫だと、

大人たちが他の国の王子と見合いをさせようとしているのですが。

姫はそんなこと認めません。

「こんなところに生まれたくなかった!庶民に生まれたかったのに!」

「ハァ…姫、いつかはこの王国を治め、どんなに小さくても、どんなに弱くても、姫が立派にこの国を支える時が来るということは、

姫の両親の夢が叶うのと同じなのです。亡くなった后と皇帝の為、姫はこの国を治めなければならないのです!」

必死に語る大臣をよそに、姫は窓からするすると、裏庭に下りてゆきます。

「ッ!?ひ、姫!またこんなところから…!」

「フンッ」

姫は大臣に向かったあっかんべーをすると、そのまま下町に向かって走ってゆきました。

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「…あれ?」

気のせいだろうか。

今、獣の耳が生えた少年が……

…ありえないか。